長過ぎ、読んでるだけで疲れる、などとお褒めのお言葉をいただく今日この頃。レースの半分もいってないのにはや3回目。簡潔にまとめることのできないレポートの始まり~
逃げ初めてから約60キロ。長く逃げていると緊張感の切れる時がある。始めの内は集団との差が気になったりペースを保つ事に集中するが段々自分達の世界になって行く感じがするのだ。もしかしてこのままゴールまで行けちゃうかも、などととんでもない誇大妄想を描いたりしてしまう。だが、現実は甘くない。
『ほら、行くよ!』すごいスピード差でBOSSとシマノ社員の白石選手が二人で抜いて行く。麓での3分はあっという間に消えうせていた。切れかけた集中力を無理矢理つなぎ合わせ全力で付く。『登りはイーブンで平地と下りは全開で』とBOSS。これでオーベスト4人、白石選手、ミノムシ君のマリア様を追撃する事実上の先頭集団が完成する。まさに絵に描いたような展開!血沸き肉踊る瞬間とでも言おうか。新たな展開の始まり、レースの醍醐味だ。
しかしBOSSと並び優勝候補の一角である白石選手は明らかに嫌がっている。登りでペースを上げるのだ。当然だろう。周りはオーベストだらけで一人では後で波状攻撃されるのは目に見えている。そして彼は強かった。
必死に付いていると後ろは崩壊しかけている。私も足がいっぱいになり、もう少し落としてくれ、と心で叫ぶ。理想的展開は早くも崩れ始めた。まずヤマグチが消え、私もミノムシ君と共にバックファイア!前を追うが追い付く感じではなく、良く見るとモズクも切れた!?ここで切れては今迄逃げた意味が無くなる!分かっていてもここまでで力を使い過ぎていた。特に海岸線の向かい風は効いた。要はそれまでの実力だったという事だ。真の勝負を楽しむ為にはもっと効果的な練習を積み、実力をあげる必要があると考えるが、今はレースを続けねばならない。
山を下りきり奥の村を通過する。勝負から離れ、集団を待つ身なので応援してくれる村人達に手を振る。喜んでくれるとこちらも嬉しい。
村を出る辺りからまた登り。今度は短いがいやらしい距離だ。ここで1人、2人と集団から飛び出して来た選手が抜いて行く。先頭は遠いよ、と思いつつタラタラ登って行くと後ろにようやく集団が見えてきた。恐ろしく大人数だ。なんだこれは、まだほとんど減って無いじゃん。実際は200人出ているので半分位にはなっているが・・・
頂上付近で追い付かれ、後方に収まる。ナルシマ軍団を先頭にテンポで走っている様だが既に足にきている身にはしんどい。しかもここに来て雨。海岸線に出ると滝のように降ってくる。バチバチと体に当たり痛い。逃げているBOSS達には不利な状況だ。集団内でヤマグチと並ぶ。『次の普久川ダムが勝負だね』。集団には先ほどまで逃げた3人とイオキベ氏がいる。なんとかゴールまで持ちこたえたいが・・・
雨の中2度目の8キロの登り。願いむなしく集団は登り始めからペースアップ。集団は縦に伸び、バラバラと選手が遅れだす。そんな中オーベスト次なる刺客イオキベ氏が落車!自分はなんとか本流につながるラインを探し抵抗していたが耐えられず失速。モズクが抜いて行く『あーもうどうなっちゃうんだろう』・・・俺もそう思う。
集団の後尾を視界に捉えつつ頂上を越える。下りをぶっ飛ばして追い付こう、と思っていたら雨でスーパースリッピー。なぜかブレーキも全く効かず前の人にすごい勢いで突っ込んで行く。仕方なく全開で曲がると後輪がズルズルすべる。生まれて初めて下りを怖いと思った。握力全開でレバーを握り続けた。
おかげで到底追い付くどころでは無く私のレースは終了した。後は嫌がらせの様に連なる登り坂をヨロヨロこなし、後ろから来る、市民120キロ、80キロの集団に乗車させてもらう(引かないから無賃乗車か?)
しかし、最後の名護(スタート、ゴール地点)に抜ける峠とも呼べる坂で叩き落とされ、同じくフラフラのモズクと共に5時間36分程で名護市役所前にゴール。開放された嬉しさから思わずモズクと手を叩く。力を出し尽くして負けて悔いは無い。
レースの結果はBOSSと白石選手は二度目の普久川ダムの後、集団に吸収され、かわって飛び出した鹿屋体育大の選手が独走で優勝。BOSSは粘り、集団スプリントで7位入賞。負傷したイオキベ氏は集団のすぐ後でゴール。私は55位。モズク、ヤマグチ、モリカワ氏と完走した。
そして惨敗した我々は反省を込めてその後50キロの練習に出るのであった・・・チーン